トゥイーティー狂想曲
✥トゥイーティーにはまったことにより、過去と現在の自分を解放してあげられたというお話。
アニメは見たことがないが色んな場で目にしてきた、という方もいらっしゃるかもしれない。
私もキャラクターグッズなどで存在はは知っていたが、少し前までアニメは見たことがなかった。
日本の吹替え版のトゥイーティーの舌足らずな口調が可愛いことを知って、実際に聞いてみたくて動画を漁ったら、あっさりと沼にころげ落ちた。。「わっういネコたんめ!」は、どうやら「悪いネコちゃんめ!」の意味らしい。
これは、こおろぎさとみさんという稀有な声優さんの吹替え力の賜物かもしれない。
英語オリジナルはそんなに悶えなかった。
かくして熱しやすい性格の私はトゥイーティーのDVDをポチって現在手元にある。
これでいつでもトゥイーティーの「わっういネコたんめ!」や、舌足らずで何を言っているかわからない歌を繰り返し聞ける!トゥイーティーのいる生活!最高!
何故、こんなにもトゥイーティーに惹かれたのか。やはりトゥイーティーの舌足らずな喋り方の力なのか。
確かにそれはとても大きい。(百聞は一見にしかずなので、皆さんもぜひ、こおろぎさとみさんの吹替え版を見て欲しい。)
けれどそれだけではない魅力がある。
順を追って考えていきたい。
①センスの塊
DVDにある30話ほどを見て感じるのは、画面の配色や構図や背景の建物などがとにかくお洒落。私はデザインの勉強をしているわけではないので詳しいことはわからないのだが、そんな素人が見ていてもお洒落だなぁと唸ってしまう。
Wikipediaによるとアニメの初出は1942年、一番多く作られたのは1950年代、そして1960年代の始めまでなのだが、第二次世界大戦前後ということを考えると更に唸るしかない。当時のニューヨークの街並みや、行き交う車、トラム、デパート、バカンスで訪れるハワイ、ヴェネチア、そして一般家庭であろう部屋の中の家具やクリスマスのプレゼントで溢れる居間、今見ても洒落てる。当時の日本からしたら更に憧れる要素が詰まっていたのではないか。
演出も洒落ている。トゥイーティーの走る音、ネコの足音や犬の足音、全て楽器で表されている。バレエ音楽かな。
②コメディの掟が詰まってる
チャップリンの映画を見た時も思ったのだが、いわゆる“お約束”の“コント”が詰まってる。言葉より視覚的に楽しめるのだ。それは子どもにとっても見やすいし、疲れた大人にとっても見やすい。何も考えずに笑えるから。
弱者であるトゥイーティーが、自分を食べようとするネコのシルベスターの攻撃をかわしつつ反撃もする、という内容なのだが、つい見ながら声を出して応援してしまいたくなる。
そして懲りないシルベスターにもツッコミを入れたくなる。
懐かしのパターンなのだ。
でもまぁ、物騒ではあるけど。すぐダイナマイやら銃やら出てくるので。
③わっういネコたんめ!
さて。トゥイーティーの決め台詞がいくつかある。
自分を狙うシルベスターがやって来た時の
「見た!?見た!ネコたん!」
もう一度確認してからの
「やっぱぃ(やっばり)、やっぱぃ、ネコたん!」
そして、自分に襲いかかるシルベスターに対しての
「わっういネコたんめ!」
この言い方が可愛くて仕方ない。
自然と真似したくなるから危険だ。
そしてひとしきり真似して、「わっういネコたんめ」というフレーズを何度も繰り返した後、ふと我に返る。
─なんでこんなにトゥイーティーに惹かれるの?
それは、私が「わっういネコたんめ!」と言えない人間だったから。
学生時代から、数は少ないが、謂れのない悪意を向けられても、相手が「悪い」と認定できず、自分に非があるのではないかとまず反省してしまうタイプだったから。反撃が一歩も二歩も遅れる。いや、反撃などしたことがなかった。
例えば道で擦れ違い様にぶつかられたら、私はそのつもりはなくてももしかしたらぼやっと歩いてたのかもしれないと思ってしゅんとしてしまう。
例えば中学生の頃、クラスの絶大な人気者と気が合って親友になった。その子の取り巻きから「なんであなたがあの子の親友なの?あなたがいなければ私があの子の親友になれたのに。」などと陰でも直接でも言われた。
今思えば女子校における思春期の女子たちの独占欲というかよくわからない力関係に巻き込まれただけだったのに、当時はそう言われてしまう自分が悪いのかなぁと悲しかったし反論できなかった。
例えば新入社員の頃、秘書として入社したわけではなかったが、たまたま部の上司が6月の株式総会で副社長に就任し、何故かその上司(皆から鬼の○○さんと恐れられていた)に気に入られ直属の秘書になってしまった。結果、私の居た部所に、ずっと秘書室に転部したいと上司に掛け合ってた先輩が配属された。人事なんてよくわからない新人の頃である。先輩のその事情もかなり後から知ったので何故その先輩が私に嫌味を言ったりするのか不思議だったが、鈍臭い私が仕事で至らないことが悪いんだろうなぁと思ってやり過ごしていた。
前置きの例えが長くなった。
トゥイーティーを見て、私は「相手が悪い!」と叫んでもいいことを学んだのだ。
相手の気持ちを汲んだうえで、「でもそれで私に意地悪するのは八つ当たりです!意地悪するあなた達が悪い!」と、あの時言えなかった反論を、過去の自分に代わり今、叫べたのだ。もちろん直接ではないが。
そのことで心の深くに沈んでいた「私が悪かったんだ」と蹲る過去の私を解放できた。
大袈裟?
ううん、それくらい、私の中で青天の霹靂だったのです。
トゥイーティーは自分からは仕掛けない。
シルベスターなどが自分を襲ってきた時だけ、あの小さな体全身で「わっういネコたんめ!」と叫び、知恵を絞って反撃を開始する。時に「たちけてー(助けて)!」と他者に救いを求めて叫ぶ。すると彼(そう、トゥイーティーは男の子なのだ)を助けに人間が手を貸し、保護してくれることもある。
─自分に向けられた悪意にはNO! を大声で叫んでいいのだ。
─そして、自分で持て余すのなら他者に助けを求めていいのだ。
たとえその悪意に理由があっても。
理不尽にふりかかる突然の災いにも。
「自分が悪いのかも」「自業自得なのかも」
なんて一人で抱え込まず、立ち向かっていいのだ。
だって、悪意を向ける方が圧倒的に「わっうい!」んだから!
私を含め、日本人には「何かされるのはそれなりの理由があるからやられた方も悪いのでは」という思考に陥りがちな気がする。特定の宗教を持たない人が多いはずなのに、因果応報という観念が骨の髄まで染み付いてる。
チカンも「される側が誘っているような服装だったから」だとか、イジメも「いじめられる側にもそうされる理由がある」だとか。無意識のうちにそんなジャッジに従ってしまう自分がいたら要注意だ。
チカンもイジメも、些細な意地悪だって、する方が悪いのだ。
もし、少しでもあなたの行手を阻み、意地悪してくる人がいたら、あなたは胸を張って「わっういネコたんめ!」と叫んでいい。
あなたも心にトゥイーティーを!
わっういネコたんという概念をなぎ倒し、生きていきましょう。
♡♡♡♡
以下、厳選、私のオススメのトゥイーティー動画タイトルを上げておきますね!
- 悪知恵合戦 これは冒頭のトゥイーティーの歌がめちゃくちゃ可愛い!何て歌っているのかリアルに10回くらい聞き直してしまった。そしてサンドイッチにされそうになるトゥイーティーがめちゃめちゃ可愛い!
- 危機一髪 舌足らずなのにハードボイルド風なナレーションをするトゥイーティーの可愛いさを堪能できます。
- 良心のささやき ヒッチコック映画風な演出が洒落てる。トゥイーティーを食べちゃったと思い込み良心の苛責でタバコとコーヒーに溺れるシルベスターが見られます。
- 欲望というあだ名のシルベスター これはトゥイーティーが野良小鳥で、シルベスターが飼い猫の設定。冒頭、吹雪の中で捨ててある火の点いた葉巻でお尻をあぶって暖を取るトゥイーティーが可愛いのなんのって。
ほんとは全部にコメント付けたくなっちゃうのですが。この辺にしておきます!
どうぞあなたもハッピー・トゥイーティー・ライフを!